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おいしいベトナム <麺編>

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私は、現在自分の生きるベトナムという国になかなか心酔しながら暮らしておりますが、
心惹かれて止まない要素の一つとして、「食事」という文化における魅力があります。



現地で生活している日本人の人々の中には、どういうわけか、
意外にベトナム料理を毛嫌いする類の方が多く、
それは日々の積み重ねにより食傷気味となったといった理由ではなく、
もともと好みでない・口に合わない・はなから興味がない、等、
じゃあどうしてベトナムを選んで暮らしていらっしゃるのでしょう、と
疑問に感じずにはいられないような嗜好を皆さんお持ちのようで、
必然的に、日本人の方と食事へ行こうとすると、
ベトナム料理よりも日本食やらイタリアンやら各国料理の確率が高くなってしまいます。


しかし私はベトナム料理が好きなのです。
日本に帰ったら、
好きなときにいつでもベトナム料理を楽しむわけには行かなくなるということを考えると、
どうも容易に日本に帰れる気がしなくなってくるぐらいに、
この国の食べ物と自分自身との相性の良さを実感する日々です。

まあ、それは、
それほどにベトナム料理に心を奪われているという状況を極端に表現しているだけであって、
実際はそんなことはないんですけどね、いや、別にこんなことをわざわざ言っているのは、
深い意味があるわけではなくて、本当はあるんですけど、とりあえず、まあいいや、
そういうわけで、
私の嗜好にことごとくダイレクトヒットしてくる魅惑のベトナム料理のうち、
お気に入りおすすめメニューを列挙してみたいと思います。






◆Phở gà

Phở gà


まずは、ベトナムといえば、の定番、米粉の平うち麺・フォー。
本場は首都ハノイ。
これは鶏肉の入ったフォー・ガー。

私は今まで、フォーといえばまず鶏肉のフォー・ガーを即決で選んできましたが、
今から一ヶ月前ぐらいに、一緒にいたベトナム人が、たまたま隣の席に座った観光客の方に
「フォーって鶏肉と牛肉どちらが美味しいんですか?」と突然訊かれたことがありまして、
何の躊躇も見せずにその人が愛想無く「牛肉」と言い捨てたその瞬間から、
私の中でのフォーのベストは牛肉となっております。
しかしそこから一ヶ月間、実は一回もフォーを食べる機会に恵まれておりませんので、
なんだかんだで結局私は本場のフォー・ボー(牛肉)を未だに一度も食していません。
食べたことが無いのにベストなのです。
自分でも意味がわかりませんが、そうなってしまったのです。

というか、ここ一ヶ月まったく食べていないという縁遠さが証明する通り、
数あるベトナム料理の中で、フォーには、
正直さほどの魅力を感じていないというのが事実です。
好きには当然好きなんですけど、
他のメニューを選択できる余地があるのであったら、迷わず他を選んでしまうのです。






◆Bún chả Hà Nội

Bún Chả Hà Nội


日本にて知名度抜群のフォーよりも、
実際の現地では市民権を得ているであろう、同じく米粉麺のブン。
ビーフンですね。
フォーよりも細く、素麺のようですが、
フォーに比べて調理法に様々なバリエーションがあるため、
地域を問わず、ベトナム人には幅広く愛されている国民的主食麺です。


ブンチャーハノイは、その名の通りハノイ地方発祥のブン料理で、
甘酸っぱいタレ・ヌクチャムの中に、ハンバーグやら焼肉やらが浸かっており、
別枠で提供される山盛りの香草を投入しながら食す、つけ麺の一種。

ちなみに、身近の日本人女子がここのブンチャーハノイに激ハマリし、
4日連続で夜一人で食べに行くという中毒症状を見せていたので、
あまりにも気になってしまって、
いよいよ5日目にあたる日に一緒に連れて行ってもらったところの画像。

美味には違いないのですが、酸味の苦手な私には、
ヌクチャムのすっぱさが少しきつい気もし、
5日連続で通った彼女のセンスはなかなか混み入った次元の物だと深く思ったりしましたが、
どういうわけだか、その2日後ぐらいに、
無性にブンチャーハノイを求めている自分自身が居り、
気づけばその日の帰り道にふらふらと一人でブンチャーハノイ屋へ。

独特のタレと、ブンのコシの無さと、香ばしいお肉の感触と、もさもさのハーブたちが、
ブンチャーハノイにしか出せない、ブンチャーハノイらしい特殊な味わいを生む、
それがブンチャーハノイ。
ちなみに、申し訳ないんですけど、
どこのブンチャーハノイ屋のブンチャーハノイもあんまり違いがわかりません、
どこのブンチャーハノイも、私にとっては等しくブンチャーハノイであり、
それ以下もそれ以上もないのです。






◆Bún chả giò

Bún chả giò


私をブン好きとして作り上げた一品。
ブンの上に、揚げ春巻きチャーゾーが乗っていて、
麺の下にはもさもさハーブたちが埋まっています。
かけるのはヌクマムだったかヌクチャムだったか、どちらか。
ヌクマムは、タイでいうナンプラー、
日本人は苦手な方も多いみたいですけど、魚の香りが結構強い魚醤。
ベトナム料理にはかかせない調味料ですが、
そのヌクマムに砂糖・調味料を足して甘めになっているのがヌクチャム。

ヌクマムも、この上に乗っている香草コリアンダーも、
私は日本に居る時、嫌いで仕方が無かったですが、
こちらでの食生活を続けるうちに、どちらも「好き」とまではいかないまでも、
何ら苦手意識を持つことなく楽しめるほどに、味覚が変貌を遂げてまいりました。

というか、来た当初、
ここでも、バインミー購入時に、
コリアンダー抜きでの注文がゆずれないという日記を書いた記憶があります。
今ではバインミーにサンドされたたっぷりのコリアンダーを見ても、
いちいち神経質に一本一本つまみ出したりしなくて済むようになりました。

代わりに、何度も繰り返された、とある劇的体験によって、
コリアンダーではないものを除くべく、
毎回バインミーの購入時、もしくは食べる時に
躍起になって注意をはらう癖がついてきましたけれど、
その話はまた別の時に。
おいしいベトナム<バインミー編>の時に。

こういう予告が入るということは書かない可能性大ということですけどね。






◆Bún nem rán

Bún nem rán


またブン。
ブンチャーハノイとブンチャーゾーの、あいのこのような存在。
ちなみに「あいのこ」は蔑称のため使用が推奨されてないのはよくわかってるんですけど、
うちの母の口癖だったもので、私は未だに日常的に使ってしまいます、大変すみません、
ていうか「あいのこ」が口癖って、
なんなんですかね困りますね教育上悪影響も甚だしいですね。

おもしろいのは、お肉の揚げ春巻き、ホーチミン等南部地方では呼び名が「チャーゾー」、
ハノイ等北部地方では「ネムザン」と、呼び方が変わってくるところ。

それ以外にも、ホーチミンとハノイでは言語や、物の呼び方に結構な違いがありますので、
ホーチミン語をベトナム語として正確に学ぶと、
ハノイに行った際にあまり通じなくなってしまう恐れもあるようです。

ベトナムで春巻きといえば、日本では圧倒的に生春巻きがイメージとして浸透していますが、
個人的には、断然揚げ春巻きが好きです。
中に、豚肉とか春雨とかきくらげとか具がいっぱい入っていて、
皮がものすごくパリパリ(むしろバリバリ)で、大変軽い歯ざわり。
中華の揚げ春巻きとも、また全然違うベトナム春巻きなので、
もっと日本でも広まってほしいものです。






◆Mì xào thập cẩm

Mì Xào Thập Cẩm


フォーやブンに比べると登場回数は低い、あまりベトナムらしさを感じない卵麺のミー。
癖の無い味で、あまり地域の特色らしい引っ掛かりがないので、
無難で、可もなく不可もない印象。
なんというか、ベトナムじゃなくてもどこでも食べられるような気持ちになる。

とはいっても、ここに書くぐらいだから、当然美味しいには美味しいんですよ、
ただ、これを食べたところ、サイゴン川のディナークルーズレストランだったんですけど、
出港時間のからみで、観光客向けではなくてローカル向けの船に飛び乗ったら、
歌謡ショーやら客の飛び入りカラオケショーやら、やたら騒々しい空間が広がっていて、
そのうち始まったセクシーなお姉さんの
過激ファイヤーショー(口の中に、火のついた棒をつっこんだりする)に
唖然呆然とさせられたりしていたので、どうもそっちにばかり気がいってしまって、
あまり料理に集中のできなかった感が否めなかったりするだけ。






◆Miến gà

Miến gà


ミェンは春雨。これは鶏肉春雨。
奥のは、フォー・ガー。

一応ちゃんとした一食ですが、如何せん麺がすべて春雨なので、
食後の消化の早さには目を見張るものがあります。

むしろ、ミェンに限らず、ベトナム麺はフォーにしろブンにしろ、
というか、もう麺どころかお米にいたるまで、とにかく消化のスピードが尋常ではありません。

これについてベトナム人がどう思っているかは知りませんが、
少なくとも日本人一般において、これに関しては割合意見の一致するところです。
ひどい時など、食後1~2時間で恐るべき空腹感に襲われ始めたりしますので、
その食物としての欠陥たるやなかなか侮れないところがあります。
だから、ベトナム人は、
おやつとして仕事中にバインミーを堂々と食べだしたりするんでしょう。






◆Bánh canh cua

Bánh canh cua


そして、きました。
わざわざこんな日記を書こうと思い立った意欲の根源となってくれた、
いとしの、バインカン。

南部地方発祥の麺ですが、麺料理にしてはめずらしく、
食べる時にはスプーン一本しか出してくれません。
なぜならご覧の通り、麺がとっても短いサイズの食べ物だから。

タピオカ麺などとも呼ばれているように、
原料は米粉と、タピオカ芋から取れるタピオカ粉です。

ベトナム風うどん、と表記されているのもたまに見ますが、確かに、一番近いのはうどん。
だけどうどんよりももっとモチモチで、ずっとプルプルで、
もう、とかくモチモチプルプルで、
ちょっとぷにょぷにょもしていて、切れ端によってはぶにょぶにょもしていて、
更につるつるもしていて、どことなく透明感があって、
カニのスパイシースープがよく絡んで、香草の効きも絶妙で、
今のところ、個人的にベストオブベトナム料理の地位に
紛うことなく君臨している超絶かわいこちゃんなのです。

この画像はやけに美味しくなさそうに撮れてしまいましたけど、それはたぶん、
独特の質感を誇るこのタピオカ麺の光沢を収めようと、
器をかきまわした状態で撮影してしまったからでしょう。

これは一番一般的なカニのスープで、魚の練り物なども一緒に入っています、
ベトナム麺らしくあっさり味で、野菜はほぼ無く、香草が生きていて、
ベトナムの風情が満載で感じられる最高の一杯だと、私は真剣に思っています。


味違いで、魚のスープバージョンもあります。

Bánh canh cá lóc

よくわからない肴の切身が入ってます。
英語表記を後々になって調べてみたら、どうやらマンボウと書いてあったようなんですけど、
真偽のほどはわかりません。










その他も、麺大国のベトナムですので、
中部ダナンのミークワン、中部ホイアンのカオラウ等、
特色のあるおいしい麺はたくさんあるし、
ホーチミンのフーティウやらヌイやら、未だトライしていない種類のものもありますが、
総じて言えるのは、どれをとっても、全体的にコシがなく、ふにゃふにゃで、
口当たりはいいけどあんまり食べた気がせずお腹にはたまらない、といったところです。

たぶん、このあたりが、ベトナム麺の好き嫌いの別れるところだと思いますが、
日本のうどんでも伊勢うどんのようにぐちゃぐちゃ気味のものを好む傾向のある私などには、
もうどこを見てもふにゃ麺だらけのベトナムは、
やはり大変過ごしがいのある土地柄であると感じるわけです。



などと言っておきながら、断トツ大絶賛のバインカンは、全然ふにゃふにゃでなく、
むしろ唯一しっかり噛みごたえのある弾力を持っているわけですが……

是非、ベトナム料理を食する機会のある方は、バインカンお試しくださいませ。
たぶん日本のベトナム料理屋さんで、
バインカンの扱いがある店舗は限られる気がいたしますが。






奥深きベトナム料理の世界、
次回バインミー編(カオスの予感)、もしくはデザート編(相当偏り有)の
どちらかへ、続けば続く、気分によっては続かない。


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